建築事例集
海を望む、整えた高さの家
お客様の要望やイメージを聞き取りをしながら、共感し合える一人の有名建築家(伊礼智さん)のデザインにたどり着きました。書籍等も沢山出版され、以前セミナーにも参加したこともあり、参考にさせてもらいました。
焼杉と鎧張りがつくる、風土に寄り添う表情
建築地は日本海にほど近く、塩害と海風への対策が求められました。玄関には袖壁を設け、引き戸とすることで風の吹き込みを軽減。外壁は、焼杉板の縦張りと杉柾板の鎧張りを使い分け、耐久性と表情の変化を両立しました。
正面は交通量の多い国道に面し、よく目に留まる立地。地元で育った私にとって、「故郷に錦を飾る」思いで、“カッコよさ”を意識した外観デザインとしました。
同じ木でも違う表情、外と内の調和
焼杉と鎧張りで力強さを感じさせる外観に対し、玄関の中はナチュラルな空間に。同じ「木」でも、外と中で異なる表情を楽しめます。
見せる×隠す、一灯で明るい収納
壁を隔てた物入れに棚を設け、上部を開けることで光が届くようにしました。棚はオープン収納と隠し収納を併用し、使い勝手と美しさの両立を図っています。
2.2mで整えた、1階の落ち着き
主な設計のこだわりは、1階の天井と建具の高さを2.2mに統一したこと。一般的な天井高は2.4mですが、あえて20cm下げることで圧迫感ではなく「落ち着き」を感じられる空間に。建具の高さも揃え、鴨居壁をなくすことで、空間のつながりが生まれ、視線も抜けやすくなっています
美しさで仕切る、吉村障子
リビングには、南面の掃き出し窓に吉村障子(皇居新宮殿の建設に関わった日本の建築界の巨匠、吉村順三氏が考案した障子)を設え、無垢の木を使った階段を配置。上部はストリップ階段とし、踊り場は腰掛けられるスペースに、階段下は秘密基地のような遊び場として、家族が楽しめる居場所づくりを意識しました。
【設計士のひとこと】
実はこの天井高は、お施主様の理解と共感があってこそ実現したもの。私自身も過去に参加したセミナーでこの高さを体感し、最初は低く感じたものの、しばらく過ごすうちに「なんだか落ち着く」と感じた記憶がありました。日常生活では、立っている時間より座ったり、床に近い高さで過ごす時間の方が多く、包まれるような安心感のあるこの高さは、暮らしにちょうどいいと感じています。
ミニマルなツールボックスキッチン
キッチンは、無垢材の温もりに寄り添う、シンプルで使いやすいツールボックスを選びました。
すっきりシンプルな水回り
大きな鏡の上から自然光が降り注ぎ、空間全体を明るくします。シンプルなデザインにかわいらしさを添え、毎日の身支度が心地よくなる水回り空間です。
階段を上がると広がる、家族のワークスペース
階段を上がると、お子様の勉強や親世代の読書、パソコン作業ができるカウンターデスクを備えたホールへとつながります。階段室を通じて1階とのつながりも感じられ、カウンターに腰掛けると敷地そばを流れる河川と日本海の美しい景色が望めます。
子供部屋と主寝室へつづく空間
階段を上がって右手には、子供部屋と主寝室、共用のウォークインクローゼットが連なるように配置されています。個室同士の距離感を保ちながら、家族の暮らしやすさを考えた動線計画としました。
主寝室
子供部屋
木に包まれた、共用の収納空間
家族みんなで使えるウォークインクローゼット。内装を木張りにすることで調湿効果が生まれ、湿気やカビの発生を抑えます。
HOUSE DATE
施工面積:112.61㎡(34.06坪) 1階:56.31㎡(17.03坪) 2階:46.37㎡(14.02坪)
設計:安井
建築士 安井
====私はこんな設計をします====
自然の力を味方にし、冬の日差し夏の日差しを窓の工夫や庇などで上手くコントロールして、快適な室内環境の提案を心がけ、エアコンなどの空調も最小限で済むような提案をしています。
また、無垢の木材を適材適所使い、愛着を持って経年変化を「経年美化」として育ててもらいたいと思っています。新築の新品もいいですが、10年20年経って「経年美化」した落ち着きのある家づくりができればと思います。
【安井建築士事例】