建築事例集
木と光と暮らす、コの字の家
この住まいの魅力は、なんといっても木をふんだんに使ったあたたかみのある空間。自然素材の持つやさしさと、光と風をうまく取り込んだ設計が融合し、家族の時間をゆったりと包み込んでくれるような住まいに仕上がりました。
はじまり
築10年ほどの既存建物がありました。まだ新しく、構造もしっかりしていたため、これを壊すのはもったいない。元々、住まいへの転用も視野に入れて造られていたため、それを活かしながら新たな住まいづくりをスタートしました。
プランニングの出発点は、既存建物にあった南向きの大きな窓。この窓からの心地よい日差しをリビングに取り込み、開放的で明るい空間をつくることを第一に考えました。
建物をコの字型に増築
そこで考えたのが、建物をコの字型に増築し、中心に中庭を設けるプラン。リビングとつながるこの中庭には、ウッドデッキを設置し、屋内外の境界を緩やかに繋ぐ心地よい場所が生まれました。
勾配天井で日当たりを確保
日当たりを最大限に確保するために勾配天井とし、屋根の傾斜を南側の既存リビングの窓に向けて設計しました。屋根の角度を丁寧に調整することで、時間帯によって変化する日差しが室内にしっかりと届き、リビングにやわらかな自然光が差し込むようになっています。
車を寄せて、そのまま玄関へ。雨の日も安心のポーチ空間
玄関前の大きな屋根のポーチは車寄せができる設計で、雨の日も濡れることなく出入りが可能です。
光が差し込む、開放感あふれる玄関
玄関を開けると、2階から降り注ぐ光に照らされて、構造上必要なブレース(※地震などの揺れに耐えるための斜めの補強材)が姿を現します。存在感のあるその部材も、ナチュラルな木の質感と調和し、空間のアクセントとして美しく仕上がっています。
回遊できる部屋
1階の個室は、ぐるりと回遊できる動線を持つ設計になっており、使い方に応じて可動間仕切りなどで2部屋に分けることもでき、家族構成や暮らしの変化に合わせて柔軟に対応できるつくりとなっています。
カーペット敷きの緩やかな階段
階段は緩やかな勾配とし、踏み面にはカーペットを敷くことで安心感をプラス。
階段下を最大限に有効活用
階段下のスペースは、無駄なく最大限に活用し、奥行きのある納戸をつくりました。
陽の光がたっぷりな視線が気にならないリビング
リビングは、コの字の中心にある中庭とウッドデッキにつながる大開口が特徴。カーテンを閉めなくても外からの視線が気にならず、南からの自然光が部屋いっぱいに差し込みます。床や天井には木をふんだんに使い、木のぬくもりと光のやさしさが心地よく調和しています。
ミニマルなツールボックスキッチン
リビングの延長にあるキッチンには、ツールボックス製のミニマルなキッチンを採用。無垢材の空間と美しく調和しながら、シンプルで扱いやすいデザインです。
ただいまが見える設計
玄関からリビングへと視線が抜ける設計にすることで、「ただいま~」と帰ってくる家族の姿が自然と目に入ります。
勾配天井を活かした2階
2階部分は勾配天井を活かした小屋裏のような空間になっており、格子からは、やわらかな陽の光が玄関へと降り注ぎます。
HOUSE DATE
施工面積:121.117㎡(36.63坪) 1階:48.26㎡(14.59坪) 2階:24.84㎡(7.51坪)
設計:安井
建築士 安井
====私はこんな設計をします====
自然の力を味方にし、冬の日差し夏の日差しを窓の工夫や庇などで上手くコントロールして、快適な室内環境の提案を心がけ、エアコンなどの空調も最小限で済むような提案をしています。
また、無垢の木材を適材適所使い、愛着を持って経年変化を「経年美化」として育ててもらいたいと思っています。新築の新品もいいですが、10年20年経って「経年美化」した落ち着きのある家づくりができればと思います。
【安井建築士事例】